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Posted by TI-DA at

2020年05月16日

【No.1544】5.15 沖縄の日本復帰から48年

昨日、5月15日は「沖縄の日本復帰の日」。
今年は新型コロナで大変な状況なので、沖縄にとって節目となる日も慌ただしく過ぎ去ろうとしている。



昨日の夜、ちょうどこの復帰の前後に発行された沖縄の文化関連の本をいくつか見てみると、当時は必死で沖縄を再認識しようとしている感じがした。「日本に復帰したい」、「沖縄は沖縄であるべき」・・・僕なんかでは想像できない葛藤が当時の沖縄の方々にはあったと思う。



いくつ見返した本の中で、岡本太郎の『沖縄文化論』の中に「本土復帰にあたって」という章がある。

その中で岡本は、

沖縄が本土に復帰するなんて、考えるな。本土が沖縄に復帰するのだ・・

沖縄の再出発を、政治・経済でなく、文化、生き方の問題として考えてほしい

という事を書いている。
この言葉は岡本太郎だからこそ言えるなと思う。僕は20数年沖縄に住んでいるからなのか、ここまで言い切れない。




だけど、沖縄の色々な場面を見てきて、さらに今回の新型コロナという100年に一度の時代の節目を迎えて思うのが、「琉球処分」、「沖縄戦」、「復帰」の時と同じく、今まさに沖縄を見つめ直す時ではないかという事。

その中でゆいまーる沖縄の役割の1つは、琉球・沖縄の文化を「消費」する傾向が強い今の経済から、琉球・沖縄の文化を「育む」「創造する」経済に貢献する事だと考えている。






  

Posted by ゆいまーる沖縄社長  鈴木修司 at 09:41Comments(0)僕の考え沖縄

2020年04月05日

【No.1543】新型コロナウィルスの影響とこれから

新型コロナウィルス感染症は、沖縄でも観光産業、外食産業はじめ様々な業種に大きな影響が出ています。リゾートホテルの稼働率も10%〜20%位の所もあり深刻な状況です。
関わりの深い沖縄の工芸業界も、時間差でこれから影響が出てくると思います。



経営をしていると当然リスク管理をするわけですが、正直ここまでの感染症リスクは想定外でした。
でも、去年の首里城火災、そして今回の新型コロナといった想定外の事が続いている沖縄。もはや想定外を想定しておかなければならないと感じています。



感染症の歴史をみてみると、人類の農業革命、都市化、産業革命、交通革命など人類の発達によって、住血吸血症、マラリア、天然痘、結核、コレラ、インフルエンザ等の感染症が発生し、大きな影響を与えてきました。

人類の歴史には感染症との戦いがあり、それは人類の発達によって表面化し、拡大させてきました。

感染症は、ある意味人間が生み出したといえるかもしれないし、人類の発達に対する自然界の調整メカニズムが働いたといえるかもしれません。

そして、大規模な感染症の後に社会の変革、人々の認識の変化が起きています。

今回の「コロナ後」もグローバリズムや企業のビジネスモデルのあり方、デジタル変革(DX)、そして社会不安が増大して人々の認識や価値観も大きく変化するでしょう。

沖縄もこれまで突っ走ってきた観光産業のスタンスを再考するタイミングだと思います。



経済が回復にむかう時、単にこれまでの活動に戻るのではなく、今回の大きな試練から学び、どう変化するのかが大切だと思います。

僕はグローバリゼーションの流れに加えて、地域の小さな経済、地域の資源、地域のコミュニティーがこれまで以上に重要になると考えています。

私達ゆいまーる沖縄も沖縄に根を張る企業として、これから大きく変化する世の中に提供できる価値を再定義し、アクションしていきます。

  

Posted by ゆいまーる沖縄社長  鈴木修司 at 08:15Comments(0)

2019年12月29日

【No.1542】工芸と進化論:目的や目標がなぜ必要なのか

今日はとある紅型職人さんとミーティング。

途中「なぜ紅型を作り続けるのか?」という話になりました。




ここ最近、生物の進化に興味があって進化の事を色々調べているのですが、その中で興味深かったのが、「生物の進化に目的はない」という部分でした。


そもそも「進化」とは、生物が時間とともに変化していく事ですが、変化はランダムに起きて、その変化がたまたま自然環境に「適応」した生物が生き延びてきたそうです。


「生物の進化に目的はない」という事ですが、逆に目的や目標を持つことができるのが人間です(これは自然界にとって良い面と悪い面があると思いますが・・)。


工芸業界も市場環境(生物でいうと自然環境)が良い時代は、あまり難しい事を考えずに良いモノを作ってさえいれば成長していました。


しかし、現在のように非常に厳しい環境の場合はそうはいきません。変化する自然環境に適応できる進化をした生物が生き残ってきたように、工芸や携わる職人さん達も進化しなければ生き延びる事ができません。




ここ数年、職人さん達に作る目的やビジョンをあらためて考えてもらったり、目標設定や原価計算の話をしていますが、中には何でこんな事をやる必要があるのか。。と感じる方もいます。


それでもなぜ伝え続けるのか。それは生物の進化と工芸の置かれた環境を照らし合わせて考えた時、目的やビジョン、目標がないと淘汰される可能性が極めて高いからです。


環境に身を任せるだけなのか、それとも目的や目標を持って自らの意思で進むのか。
工芸業界はこの分岐点に立たされています。





  

Posted by ゆいまーる沖縄社長  鈴木修司 at 23:09Comments(0)僕の考え沖縄染織

2019年12月14日

【No.1541】こんな伝統は残してはいけない!?

最近、織物職人さんの人材育成のお仕事をさせていただいている事もあり、あらためて沖縄の染織業界のために何かできないかを考えている。




染織の近代史をみると、流通の仕組み、作り手と売り手の力関係など、明治の頃の構造が今もまだまだ残っていると思う。




呉服業界を知れば知るほど、「えっ!何これ!?何時代の話!??」という事がよくある。


作り手の収入も低いままなのも当然だ。





だから「手作りは素晴らしい」、「この伝統を残していていこう」と、単に手作りや伝統を賞賛し、美化する事は、ある意味危険だと思っている。さらに「伝統を残すため補助金を出そう」では根本的な解決策にならない事は産地の現状を見ればよく分かる。


作り手の人達が苦しいままの「悪しき構造」という伝統は残してはいけない。


作る人と売る人、文化と経済、これらのバランスを考えた新たな仕組みづくりを行い、「守る」のではなく「進化」させる事が必要だ。

  

Posted by ゆいまーる沖縄社長  鈴木修司 at 22:10Comments(0)僕の考え沖縄染織

2019年09月08日

【No.1540】伝統工芸こそもっと経済を考えるべき

先日、織物、染物、焼物といった沖縄の工芸職人さん達と県外研修に行ってきました。



東京で草木染めのブランドを展開されているmaitoさん。

そして東京デザイナーズビレッジでは、TERAIcraftmentのブランドを展開されてる武市さんのお話と、鈴木村長に売れるための仕組みづくり、ファンづくりについての講話、ワークショップを開催していただきました。今回ご協力いただいたみなさん、本当にありがとうございました!






みなさんモノづくりはもちろんですが、売るという事も突き詰めていますねー




僕があらためてこの研修で感じたのは、
「伝統工芸*こそもっと経済を考えるべき」という事です。

*「工芸」ではなく、ここではより象徴的な呼び方として、あえて「伝統工芸」と言います


伝統工芸業界で経済とかお金の話をすると、「お金のためにやっているのではない、モノづくりが好きでやっている」、もしくは「工芸文化を継承するためにやっている」というような声を聞くことがあります。
しかし、衰退している業界だからこそ、むしろ成長市場の業界以上に「どうやって売上を上げるのか」、「収益を出すのか」を考える必要があると思います。

伝統工芸の業界は、昨今の手仕事ブームで何となくいい感じ(?)でメディア等によく紹介されていますが、実際の現場は本当に大変です。最低賃金以下の労働環境、社会保障もないケースは当たり前のようにあります。これが伝統工芸以外の業界だったらかなり大きな問題になると思うのですが・・・


まあ、働いていれば悩みや不安は誰でもあると思いますが、伝統工芸に携わっている人達の悩みや不安は本当に深いのです。その中で大きなウェイトを占めるのが経済(売上や利益、お金)であり、沖縄の伝統工芸業界にある生産額減少、従事者人数減少、後継者問題、原材料不足といった諸問題も業界内の経済が回らなくなっている事が最大の原因です。


このような状況から、伝統工芸業界は「経済」について本気で考え、具体的な行動(変化)を起こす事が早急に必要です。


そこで大切な事は、「何のために売上、利益を上げるのか」という事です。




僕は、これから日本が少子高齢化、都市部への人口集中、おひとりさま、空き家、地域産業の衰退、地域コミュニティーの弱体化など、人口減少に伴う様々な社会問題が表面化する中で、これまで以上に地域の文化、アイデンティティーが重要視されると考えています。

伝統工芸はまさに地域文化、アイデンティティーを構成する要素です。沖縄では、やちむん(焼物)や琉球ガラスは食文化と、染織は組踊や琉球舞踊、地域の芸能文化と深い関わりがあります。

そんな素晴らしい文化に関わっている人々、伝統工芸に携わっている人々が経済的に厳しい状況では、文化はさらに衰退していきます。文化の衰退は地域の衰退です。


経済が目的ではなく、地域文化を育んでいくために経済を追求していく。


そのために僕らゆいまーる沖縄も業界のみなさんと共に考え、行動していきます!
作り手のみなさん、引き続き共に頑張っていきましょうねー!



  

Posted by ゆいまーる沖縄社長  鈴木修司 at 08:50Comments(0)僕の考え

2019年09月01日

【No.1539】 新人研修で辺野古へ

ゆいまーる沖縄では、御獄(ウタキ)に行ったり、芸能を鑑賞したりと独自の新人研修を行っていますが、その中の1つに辺野古の視察があります。

先日も新入社員3名を連れて辺野古へ行きました。大浦湾に船を出してもらい、海上からサンゴ礁や新基地建設の現場を見てきました。



海上では、ちょうど海に土砂を投入するところでした。


研修の翌日、出張の飛行機から撮影した辺野古の様子。


この研修は、ゆいまーる沖縄の経営目的の1つ「琉球の自立を目指す」、会社理念の1つ「自然を畏愛(いあい)します」を考えるために行っています。

「琉球の自立」を考える時、自然こそ島の宝であり、それを軍事や利権等によって埋め立てるという行為は、世代を越えて語り継がれる愚行だと思います。

さらに、この工事によって投入される大量のお金。調査や警備の目的で防衛省が地元の漁船をチャーターするのですが、その費用が1日5万円。
これだけの金額になると、漁師さんにとっては漁に行くより割の良い収入になります。聞く所によると、このチャーターによって漁協の組合員も増えているとの事。



僕は漁師の方々を批判するつもりは全くありません。みなさんも生活があり、さらには漁協との関係、地域との関係など様々な葛藤もあって船を出している方もたくさんいらっしゃいます。

ただ、過去の例をみても、基地がらみの補助金や制度がある事によって(補助金や制度自体が必ずしも悪いわけではないのですが)地域に大きな施設を造り、その維持費で財政が苦しくなったケースがいくつもあります。また、今回のケースのように本業でない所で大きなお金が発生する事で、自分達のチカラで何かを生み出したり、創造するパワーが知らないうちに削がれてしまう事が、長期的にみて自立から遠ざかってしまっているように思えてなりません。


これは会社の代表である僕の考えですが、社員1人ひとりがこういった研修を通じて沖縄について、そして何ができるのかを考えてほしいと思います。

  

Posted by ゆいまーる沖縄社長  鈴木修司 at 09:47Comments(0)ゆいまーる沖縄

2019年08月24日

【No.1538】「もの」が売れる時は一番危険な時

先日、1974年に発行された雑誌『琉球の文化』を読んでいて、大城志津子氏さんが書かれた文書に目が留まりました。




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 昭和四十七年、沖縄が日本復帰をした当初、沖縄の織物が各方面より注目され、作れば、何でも売れるという一時期であった。しかし「もの」が売れる時は一番危険な時と良く云われる通り、それが実感として、こんなにも早く押し寄せてこようとは、誰もが考えなかったことであろう。
 沖縄の伝統織物が最高のものとして他に受け入れられているという過信は捨て去り、新たに反省してみる必要があるのではないだろうか。


『琉球の文化 第5号』(1974年)
沖縄織物の雛形帳 大城志津子 より

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この文が書かれた1974年といえば、着物市場の売上が全盛期を迎える時。

染織、やちむん、琉球ガラス、琉球漆器、三線・・・
沖縄の工芸は、廃藩置県後の日本化、1972年の日本復帰、海洋博バブル、着物ブーム、沖縄ブームなど、過去の歴史をみても「作れば売れる」という経験を繰り返しています。


京セラやKDDIを創業された稲盛和夫さんは、失敗や困難な事も試練だが、成功もまた試練という事をおっしゃいます。


もちろん売れる事が悪いというわけではありません。今の時代は売れなければ継続する事もできません。

重要なのは、売れる中で「進化」しているのかという事です。
(生物の進化と同じようなイメージです。自然の摂理を考えれば、この世に存在するものはすべて進化していかなければ生存し続けられません。)

過去の例を見ても、ものすごく売れている時にモノの質が落ちたり、また工房や業界の問題に蓋をしてそのまま放置してしまうなど、良い時に衰退の種をまいてしまう、衰退の芽を育ててしまう事が問題なのです。


工芸、手仕事ブームに加え、沖縄は観光客も増え続け、沖縄の工芸の人気も高まる裏で、相変わらずの工芸生産者の収益性の低さ、着物業界の流通構造、後継者育成、原材料、業界団体の体質など、問題が山積しています。


まさに「作れば売れる」今が、沖縄工芸にとっての試練。


そんな中で、沖縄の工芸生産者や業界団体、そしてゆいまーる沖縄も、10年後・20年後の先を見据えて、それぞれの存在意義・役割を見直し、行動していく必要があると思います。

  

Posted by ゆいまーる沖縄社長  鈴木修司 at 10:28Comments(0)僕の考え

2019年02月24日

【No.1537】つくりて皆さんの決意表明!

2月22日、23日に開催された「みらいのつくりて ー作り手と産地の未来ー 成果報告会・シンポジウム」が無事に終了しました。お越しいただいたみなさま、本当にありがとうございました!


この事業は、琉球絣事業協同組合さんが主体となり、組合が技術研修を、ゆいまーる沖縄がマーケティング研修、経営(工房の運営)の高度化の研修をそれぞれ担当し、僕が事業全体のプログラムマネージャーをさせていただきました。







今回の研修生は10名。みなさん普段の織や家庭の事など、それぞれかなり忙しい中で、90時間にもおよぶこの研修をこなしてきました。そして、最後の成果報告会に合わせて作品を織り上げ、1人5分間のプレゼンテーションを行いました。


プレゼンテーションでは、それぞれの学び、そしてこれからどうしていきたいのかを語っていただきました。


今までできなかった技術が身についたこと、


研修が本当にハードだったこと、




原価計算をしたら、利益率の低さに愕然としたこと、


「織物が好き」だけではダメだという事に気がついた、


たくさんの出会いがあったこと、




これからは売上を●%ずつ、利益率を●%まで伸ばしていきたい!


子ども達と一緒に織物をやっていきたい!




みなさん、一人ひとりそれぞれのコトバで、時には涙声で語っていただいたプレゼンは本当に感動しました。


参加したある方が、今回のプレゼンテーションは「研修生みなさんの決意表明だった」とおっしゃっていました。


まさにその通りです。


右肩上がりだった時代は、イイモノを作っていれば自然に右肩上がりの流れに乗って進んでいく事ができました。しかし、現在のように右肩下がりの時代はその逆です。

自分自身が作り手としてどこに向かいたいのか。どうありたいのかを持つ事。右肩下がりの波に飲み込まれず、自分達の意思で未来を創造していく。そのための決意表明です。


産地は様々な人で構成されますが、その中心はつくり手です。作り手の意識が変わり、行動が変われば産地が変わります。


今回のプロジェクトはその第一歩です。10名の研修生みなさんは、たくさんの困難を乗り越えて今回の発表の日を迎えました。僕自身、研修生のみなさんから教えられる事がとてもたくさんありました。


きっと南風原の産地はさらに変わっていきます。そして、ゆいまーる沖縄もみなさんと共に歩んでいけるよう頑張ります!




研修生のみなさん、組合のみなさん、関係者のみなさん、本当に本当におつかれさまでした!
そして、これからもゆたさるぐとぅ うにげーさびら!

  

Posted by ゆいまーる沖縄社長  鈴木修司 at 10:48Comments(0)僕の考え沖縄染織

2019年01月13日

【No.1536】沖縄のため、自己成長のために働く仲間を募集しています!

「沖縄のために」という利他の心



ゆいまーる沖縄の経営目的には、「琉球の自立を目指す」という文言があります。沖縄の価値を活かし、沖縄にお金を循環させ、沖縄に貢献していく事が私達のビジネスモデルのベースになっています。この根底には、自分達だけが良くなれば良いという「利己」ではなく、沖縄を良くしていきたいという「利他」の考え方がベースにあります。

そのため、応募条件には「沖縄に貢献する思いのある方」を掲げています。
就職は突き詰めると結婚に似ています。結婚する時はルックスだけでなく、お互いの考えが合うのかも大事な要素です。就職するにあたって、ビジネススキルも大切ですが、それ以上に沖縄に対するお互いの考え方や思いが共鳴できる事を重要視しています。


主体性と自己成長

人生の中で多くの時間を費やす仕事は、自己成長する機会、そして人間を磨く機会でもあります。「言われた事以上の仕事ができない人」、「自燃性(自ら燃える)でない人」にとっては、ゆいまーる沖縄は厳しい環境かもしれません。仕事をしていると自分の力が及ばない時は多々ありますが、そういった時、常にギャップを埋める努力をして自己成長する事が必要です。

そのためには、組織や自分自身の変化を受け入れる「素直さ」と、成長への「強い意志」、そして「行動力」が求められます。現在はまだ力不足な部分があったとしても、能力を未来進行形で捉え、常に自ら学び、変化と努力を継続できる人。このように主体性を持ち、自己成長できる人を求めています。



地味な仕事を一歩一歩



最近はゆいまーる沖縄もメディアで紹介される機会が増えてきました。本当にありがたい事です。ただそういった時はどうしても「良い面」がクローズアップされがちで、仕事も華やかに見えます。しかし、実際は1件1件営業にまわって受注をもらったり、商品を梱包したり、伝票を作成したり、やちむん(焼物)や琉球ガラスなど重い荷物を持つ事も多々あります。普段の仕事はほとんど地味な仕事ばかりです。でもこの地味な努力を一歩一歩積み上げてきた結果が現在のゆいまーる沖縄なのです。



ゆいまーる沖縄2022年ビジョン
「沖縄の価値を創造するソーシャルデザインカンパニー」


ゆいまーる沖縄は、沖縄の文化的価値を創造・発信することで、社会に対して沖縄の価値観を提案するソーシャルデザインカンパニーを目指します。



ゆいまーる沖縄は2022年に向けて「沖縄の価値を創造するソーシャルデザインカンパニー」というビジョンを掲げました。

このビジョンには大きく2つの思いが込められています。



1つ目の思い
「足下にある『沖縄の宝(ソフトパワー)』を見つめ直し、沖縄の価値を活かした主体的な成長に貢献したい」




沖縄は、観光、建設、不動産、流通など多くの業界が好調で、経済的には拡大基調が続いていますが、観光業界ではオーバーツーリズムによる受入問題、環境問題も顕在化してきています。また、一旦沖縄に落ちたお金が外へと流れてしまう「ザル経済」の状況は依然として各業界で続いており、その事が沖縄の付加価値や生産性の低さにもつながっています。

経済が活性化するのは良いことですが、これまでのスタイルで量を追いかけてしまうと、付加価値はなかなか向上せず、沖縄の宝である自然や文化、価値観を破壊してしまう事にもなりかねません。経済が好調な今こそ「足下にある沖縄の宝」を見つめ直し、沖縄の文化と経済を融合させ、主体性を持った成長に貢献していきたいと思います。



2つ目の思い
「『沖縄の宝(ソフトパワー)』を活かして社会課題を解決していきたい」




日本全体では、少子高齢化、都市部への人口集中、おひとりさま、空き家、地域産業の衰退、地域コミュニティーの弱体化など、人口減少に伴う様々な問題が表面化しています。現在は人口が増加している沖縄ですが、2025年から2030年ごろには減少に転じると予測されています。

日本は近現代「モノとカネ」のシアワセを追求してきましたが、その前提条件でもあった人口の増加が見込めなくなった事。そして、行き過ぎた現代資本主義のひずみが世界の貧困、環境、戦争といった形で表面化した事で、(まだ一部の人々ですが)物質文明の行き詰まりを感じており、新たなシアワセのモノサシが求められはじめています。

沖縄には自然崇拝、祖先崇拝といった精神文化が根底にあり、「自分は生かされている」という思いから、自然、祖先、地域、人といった「つながり」を大切にする価値観と、その価値観から派生する芸能、工芸、食など多くの文化を生み出してきました。

これまでは経済が成長すれば文化は衰退するという関係性でしたが、これからは文化と経済が共存する時代、もしくは文化が経済をリードする時代になるとも言われています。この文化にこそ「新たなシアワセのモノサシ」になるヒントがたくさんあるのです。

ゆいまーる沖縄は、多種多様な文化が存在する沖縄のソフトパワーを活かし「新たなシアワセのモノサシ」を世の中に提供する事で、社会課題を解決していく役割を担っていきたいと考えています。



以上のようなビジョンの実現に向け、これまで事業のベースにしてきた沖縄工芸・食品の企画、流通に加えて、沖縄の文化的価値を創造・発信し、社会課題の解決や、新たな価値創造の仕組みづくりにチャレンジしていきます。
ホームページやSNS等もご覧いただき、ゆいまーる沖縄の考えや取組みに共感し、一緒に歩んでみたいという方はぜひご連絡下さい。

代表取締役社長 鈴木修司


<採用情報>
ゆいまーる沖縄(株)では現在、以下のスタッフを募集しております。
私たちの考え方や活動に賛同し、沖縄に貢献したい、ともに成長したいという強い思いを持った方をお待ちしています。

■カンパニーサイト採用情報
http://www.utaki.co.jp/aboutus_recruit/

■ジョブアンテナ採用ページ
https://www.jobantenna.jp/at/13081/offer/




  

Posted by ゆいまーる沖縄社長  鈴木修司 at 11:29Comments(0)ゆいまーる沖縄

2018年09月24日

【No.1535】なぜ着物を販売するのか?

ゆいまーる沖縄では、10月6日〜8日まで東京の「lucite gallery(ルーサイト・ギャラリー)」で、展示販売会【みやらび展 〜沖縄・南風原町で生まれた織りの美〜】を開催します。


衰退産業と言われている着物をなぜゆいまーる沖縄が販売するのか?これまで30年近く工芸品の販売をしてきましたが、今まで扱ってきた製品と比べて取扱いが本当に大変です。金額は高額ですし、販売するにも専門知識が必要で本当に難しい!




僕自身も数年前まで着物の販売に手を出すとは思っていませんでした。


しかし、工芸業界の企画・流通を事業とする中で、職人みなさんの収入が厳しい現実をずっと見てきました。その中でも染織はかなり厳しいジャンルです。どくらい厳しいかと言うと、『平成20年沖縄県伝統工芸品産業流通・振興に関する調査』で、生産者の約76%が年間生産額100万円以下、約50%が50万円以下という状況です。


これだけ技術力も高く素晴らしい仕事をしているのになぜ?? この労働と収入のギャップが後継者不足、そして原材料不足など業界の諸問題に広がっていきます。




ではなぜ労働と収入にギャップが生まれるのか? 
その大きな原因は着物業界の流通構造にあります。


生産者から問屋へ、この問屋が1件から多いと3件、その後小売店へという多段階の流通経路。この流通経路の中で、生産者の収入になるのが最終販売価格の10%〜20%くらいしかありません。また、この流通経路が固定化されていて、生産者に他の流通経路を選択する余地がほとんどありません。さらに市場規模が縮小していく中で、生産者、問屋、小売店の経営がそれぞれ厳しい状況にあります。


こうなってしまうと構造の問題になってしまい、小手先の活動では解決する事はできません。構造の問題は、構造を変えるか、別の構造を新しく創る事でしか解決できないのです。


ただ、この構造は本当に根深いです! いつ頃からかは知りませんが、ずーっと長い間この構造だった業界ですから、なかなか変化させるのは難しいです。特に業界内部の人であれば尚更です。沖縄の染織業界内でも、もう10年以上前から「変化しなければ」という声はあがっていますが、なかなか変わっていません。


「だったら自分達が動くしかない!」という事で、着物の販売を行う事にしました。もちろんビジネスではありますが、それ以上に「どうやったら職人さんが今より収入が上がって、将来に不安なくモノづくりができるのか」、「産地が今より良い方向に進んでいけるのか」をカタチにするための運動だと思っています。


販売会といってもまだ回数も年に数回レベルですし、たくさんの数量を扱えてもいません。職人さん、関係者のみなさんに協多大な協力をしていただき成り立っています。まだまだ小さな運動です。あとは、この運動を少しずつ展開していく事で、共感してくれる職人さんや販売する方、応援する方が増え、大きな動きにしていきたいと考えています。

さらに言うと、流通構造の変革は染織業界を変えるための第一歩だと思っています。流通を変える事で職人さん・産地に今よりお金をまわし、少し余裕ができたところでその後の新たな展開が必要だと思います。これが沖縄テキスタイルとしての新たな価値創造、「新たな構造づくり」です。


そういった思いで今回の展示販売会も実施します。


着物ファンの方はもちろんですが、沖縄の染織に興味がある方、応援したい方、沖縄の染織業界がどうなっているのかもっと知りたい方もぜひぜひお越しください!僕も3日間会場にいますので、色々お話しさせていただきます。




【 みやらび展 〜沖縄・南風原町で生まれた織りの美〜 】
(展示販売会)

沖縄県南風原町は、琉球絣、南風原花織など様々な織物の産地です。

この地域の先人が伝えてきたものは、技や柄に込められた想いだけでなく、戦後の時代を生きていく力でもありました。そのたおやかな美しさは今も私たちを魅了します。

今回、初となる「みやらび展」では普段なかなかお目にかかれない着尺地、帯地を展示・販売致します。他、紅型染帯、八重山ミンサー織なども併せてご用意しております。きっといつまでも自分らしく着こなせる逸品が見つかると思います。 (*お仕立てまでご手配致します。)
この3日間「みやらび展」にぜひお出掛けください。心よりお待ち申し上げます。

* みやらび … 沖縄のことばで「純粋な心を持った人、乙女たち」のこと

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■会場 lucite gallery(ルーサイト・ギャラリー)
    東京都台東区柳橋1−28−8
*浅草橋駅(JR東口、都営浅草線A6出口)から徒歩5分

アクセスはこちら
http://lucite-gallery.com/access.html

■時間 11:00-18:00

■主催 ゆいまーる沖縄株式会社
    itsu & co.

■フェイスブックのイベントページはこちらです!
https://www.facebook.com/events/278256619444755/  

Posted by ゆいまーる沖縄社長  鈴木修司 at 11:11僕の考えゆいまーる沖縄

2018年09月16日

【No.1534】 文化と経済の議論を! 

今週は織物生産者みなさんの研修、商品開発事業の個別ミーティング、そして染織、和装・琉装等の関係者の集まりがありました。




その中で、沖縄の染織業界では後継者育成事業について、「募集をしてもなかなか人が集まらない」、「研修終了後の受け皿がない」、「技術を身につけても食べていけないので続かない」といったお話しがありました。

毎回、「どう大変なのか?」という話は出るのですが、その大変な根本にある原因にまで行き着かないケースがほとんどです。

後継者不足の原因は、「作り手がモノづくりだけでは食べていけない状況である」という事です。そうなると、この食べていけない状況がなぜ起きているのかをさらに掘り下げていく必要があります。


工芸業界の人達が集まると、文化の話が80%から90%くらいを占めます。そして、最後には「行政の支援がもっと必要だ」となります。


そろそろ工芸業界も自立を前提とした本質的な議論をしていかないと、後継者問題、作り手の収入問題が手遅れになってしまいます。その時に文化と同じくらい経済の議論が必要です。

作り手、産地の自立を前提とした議論をしっかり行った上で、必要であれば行政の支援をお願いするという流れに変えていかなければなりません。




これからは文化の時代。文化の宝庫である沖縄は、この文化の上に未来を開拓していくべきだと思います。

そのためにも、文化を活かすため、文化を育むため、そして新たな文化を創造するための経済の議論と行動が必要だと考えます。


  

Posted by ゆいまーる沖縄社長  鈴木修司 at 10:34Comments(0)僕の考え沖縄染織

2018年08月19日

【No.1533】沖縄染織業界は変化できるのか? ①いよいよ研修スタートしました!

沖縄染織業界は変化できるのか?
いよいよ作り手のみなさんに向けた研修がスタートしました!



これから約半年間、織物のデザイン、絣のくくり技術、マーケティング、工房経営に関して 全23回 約90時間のハードな研修がスタートします!

今回は琉球絣事業協同組合さんが主体となり、組合が織物のデザイン、絣のくくり技術を、ゆいまーる沖縄がマーケティング、工房経営をそれぞれプログラムづくりから運営までを担当。僕がプログラムマネージャーとしてこの事業全体をマネジメントさせていただきます。

研修初日のテーマは「分業制の技術と成り立ちについて」。大城廣四郎織物工房 大城一夫さんの講話からスタート。



そして、講話の後は「分業制」をテーマに、分業制のメリット・デメリット、課題、これから分業制をどうしていきたいのか・・といった内容でグループディスカッション。

この数年間色々な産地をまわり、作り手のみなさんとお話して感じたのが、工芸のモノづくりが大変な事は分かっている。でも、なぜ大変なのか? その根本的な原因は一体何なのか? は分かっていない事が多い。

根本的な原因が分からないと、どうアクションを起こせば良いか分かりません。さらに1番やっかいなのが、うわべだけの対策がとられ、時間とお金をかけたにも関わらず、何も変化しないパターンです。

という事で、まずは「大変な原因」をみんなで意見交換しながら考えます。




そしてここからが重要!

原因が見えてきたところで、自分達はどうすべきか? どうしたいのか? これを「自分ごと」としてどうするのかを考えます。

最後はまとめたものを作り手みなさん自身で発表します。
さすがこの過酷な研修にエントリーされただけあって、みなさん発表もすばらしいです!!






理事長や講師の大城一夫先生のアドバイスもあって、作り手みなさんでここまで意見をまとめる事ができました。






僕自身、大城一夫先生のお話はもちろん、グループディスカッションで出た意見から学ばされる事が本当に多い初日の研修でした。そして、何よりも作り手みなさんの変わっていきたい!という強い思いが伝わってきました。

このブログでは何度も書いていますが、沖縄の染織業界は、世代交代真っ最中!特に技術の習得に時間が掛かり、さらに着物市場の流通構造など問題の根が深い染織は、今変化のアクションを起こさないと、今後産地として成り立たなくなる可能性が非常に高いのです。

それでもなかなか変化できなかった業界。今回この事業を実施した組合、そして研修にエントリーしていただいた職人の皆さんは、本当に大きな決断をされたと思います。

その決断に応えるべく、そして世界に誇る沖縄染織が良い方向に向かっていくきっかけになるよう、ゆいまーる沖縄としても大きな決意をもってこのプロジェクトに挑みます!



  

Posted by ゆいまーる沖縄社長  鈴木修司 at 07:27Comments(0)僕の考え沖縄染織

2018年07月15日

【No.1532】沖縄織物業界の新たなプロジェクトがいよいよスタート

沖縄染織業界への新たな取組みとして、作り手の人材育成をお手伝いさせていただく事になりました。

毎年どんどん減少する織物の従業者数。
(青いラインが織物の従業者です)



その大きな原因が、労働に対する収入の低さです。
過去の調査でも、年間生産額が100万円以下の生産者が約76%。
50万円以下が約50%もいます。



これはあくまで生産額なので、ここから原材料費等の経費が引かれていきます。


今までは作り手のみなさんも「良いモノ」を作っていれば良い時代がありました。
だから後継者育成でも「技術」を修得する事が重要でした。



もちろん技術も重要です。
しかし、今は着物業界も大変厳しく、作り手がなかなか儲からない流通の仕組みになっています。

そうなると「技術」だけでなく、「どう収入を上げていくのかといった考え方」も学ばなくてはいけません。


今回のプロジェクトでは、この考え方の部分をゆいまーる沖縄がお手伝いをさせていただきます。


沖縄工芸業界の中でも織物は課題が山積みなので、簡単には物事が進まないのは覚悟しています。
とにかく作り手みなさんが稼げるようにする事。


そして、文化と経済のバランスをどうとっていくのかをカタチにしていきたいと思います。


  

Posted by ゆいまーる沖縄社長  鈴木修司 at 10:34Comments(0)僕の考えゆいまーる沖縄

2018年06月24日

【No.1531】 6.23 慰霊の日にあらためて考える

昨日は6月23日、沖縄慰霊の日でした。

ゆいまーる沖縄は2009年から6月23日を会社休業日として、糸満市にある魂魄の塔やガマなどを訪問しています。今年は土曜日という事もあり、スタッフそれぞれで慰霊の日を過ごしてもらう事にしました。



僕は家族で糸満市にある平和祈念公園へ、、朝早くから沢山の方々が祈りを捧げていました。




僕はこの日にいつも同じ事を思います。
それは、「戦争の悲惨さ」だけでなく、「この悲惨な戦争がなぜ起こるのか」、「なぜ戦争は繰り返されるのか」を知ること。その上で自分達は今をどう生き、未来へこの平和を繋いでけるのかということです。

約1年前、2017年6月4日の琉球新報に『続・百年の愚行』という本の書評を書かせてもらいました。

今の世の中を見ると、今が良ければ、自分さえ良ければ、といった風潮が強く、未来や他者に対しての想像力が希薄になっていると感じます。

戦後73年が経過し、戦争体験者がどんどん減っていく中で、私たちには、他者や時間軸に対する想像力が求められているのではないでしょうか。




つながりをとりもどそう


「愚行」とは、文字通りおろかな行為のことである。この本には、戦争、弾圧、貧困、環境破壊、核、原発といった世界中で起きている愚行の数々が紹介されており、これら愚行を招いた要因が、資本主義の「速度と効率の追求」、「他者への想像力の欠如」、そして「他者の、ときに自らの記憶の破壊と忘却」であると書かれている。

 本来、資本主義はより良い社会を築くための仕組みであったはずであるが、人間によるあくなき欲望の追求の結果、世界中で様々なひずみが発生している。沖縄は、第二次大戦時に地上戦を経験し、現在も米軍基地の過重な負担を強いられており、戦争という愚行の影響を受け続けている地域のひとつである。私はちょうど20年前に沖縄で暮らしはじめたが、沖縄に集中する米軍基地の現状を目の当たりにし、基地や戦争について今まで以上に考えるようになった。

 戦争については、そもそも「戦争がなぜ起きるのか?」という背景を知る事が重要だが、その1つは現代資本主義の構造にあると思う。世界的な人口増加、エネルギー問題、富の集中と格差の拡大など、資本主義は行き詰まり感をみせているが、それでも過度な経済成長を追い続ける。ひとたび戦争が起きれば、軍需産業によって利潤を得る人や企業が存在し、私たちの暮らしにも影響を与える。

戦争によって遠い地域で苦しむ人々の様子をテレビや雑誌、ネットを通じて観る時、戦争の悲惨さや残酷さは感じても、戦争と自分達の暮らしの関係性については、想像力が働いていない事が多い。私はそのような状況を見て、経済はグローバルにつながっているが、人々の心は分断されているように思えてならない。

遠い地域で暮らす人々、さらに子や孫の世代といった未来の人々に思いをはせ、想像力を働かせる行為は、「今後どのように豊かになっていけば良いのか」を考えるきっかけになる。これまでのような金と物が中心の豊かさではなく、心をベースとした豊かさへの価値転換が求められている。

 ご存じの通り、沖縄には「ゆいまーる」という言葉があり、かつては親族や集落の人々が集まり、農作業など労働交換の時にこの言葉が使われていた。今でも助け合いや、つながり、共同体といった意味合いで、沖縄の人々に受け継がれている。

 沖縄では、このような人々とのつながり、そして自然や祖先とのつながりを大切にしている。この「つながり」は、自分は生かされているという価値観にも通じる重要なキーワードである。

 世界で起きている愚行を少しでも減らしていくためには、自然、地域、人々がつながりを取り戻していく事が必要である。そのために、沖縄は本来持っている心をベースとした豊かさを発信する重要な役割を担っている地域である。

(鈴木修司・ゆいまーる沖縄代表取締役社長)
  

Posted by ゆいまーる沖縄社長  鈴木修司 at 09:16Comments(0)僕の考え沖縄

2018年04月08日

【No.1530】自己成長のため、そして沖縄のために活動する仲間を募集します!

ゆいまーる沖縄では、自己成長のため、そして沖縄のために活動する仲間を募集しています。


ゆいまーる沖縄の経営目的には、「琉球の自立を目指す」という文言があります。沖縄の価値を活かし、沖縄にどうお金をまわしていくかが私達のビジネスモデルのベースになっています。この根底には、自分達だけが儲かれば良いという「利己」ではなく、沖縄を良くしていきたいという「利他」の考え方がベースにあります。


 そのため、応募条件の1番目に「沖縄のために貢献する気持ちのある方」を掲げています。就職は突き詰めると結婚に似ています。結婚する時はルックスだけでなく、お互いの考えが合うのかも大事な決定要素になると思います。就職するにあたって、ビジネススキルも大切ですが、それ以上に沖縄に対するお互いの考え方や思いが共鳴できる事を重要視しています。


 私達は今のところ小さな会社なので、とても少ない人数(2018年現在16名)で運営しています。そのため社員1人ひとりが主体性を持つ事は必須条件になります。具体的には、「言われた事以上の仕事ができない人」、「自燃性(自ら燃える)でない人」にとっては、ある意味厳しい環境といえます。もちろん最初からすべてが備わった完璧な人などいないでしょう。仕事をしていると力が及ばない時もあります。それは私達のような成長途中の会社も同じで、まだまだ力不足な部分もあります。だからこそ、この不足しているギャップを埋める努力ができる人が必要なのです。




そのためには、組織や自分自身の変化を受け入れる「素直さ」と、成長への「強い意志」、そして「行動力」が求められます。現在はまだ力不足な部分があったとしても、能力を未来志向で捉え、常に学び、変化と努力を継続できる人と一緒に仕事をしていきたいと思います。


最近はゆいまーる沖縄もメディアで紹介される機会が増えてきました。本当にありがたい事です。ただそういった時はどうしても「良い面」がクローズアップされがちで、仕事も華やかに見えます。しかし、実際は1件1件営業にまわって受注をもらったり、商品を梱包したり、伝票を作成したり本当に地味な仕事ばかりです。でもこの地味な努力を積み上げてきた結果が現在のゆいまーる沖縄なのです。


「うちなー企業調査隊」


「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」


今後私達は、これまで事業のベースにしてきた沖縄工芸・食品の企画、流通にとどまらず、沖縄の価値を創造する様々な取組みにチャレンジし、沖縄に貢献していきたいと考えています。ホームページやSNS等もご覧いただき、ゆいまーる沖縄の考えや取組みに共感し、一緒に歩んでみたいという方はぜひご連絡下さい。

代表取締役社長 鈴木修司



<採用情報>
ゆいまーる沖縄(株)では現在、以下のスタッフを募集しております。
私たちの考え方や活動に賛同し、沖縄に貢献したい、ともに成長したいという強い思いを持った方をお待ちしています。
 

◆営業部 正社員(フルタイム)

【業務内容】
営業関連業務全般(企画・提案、新規営業、受注 、 配達、出荷準備等)

【勤務形態】
9:00~18:00のうち8時間勤務
(シフト制、休憩時間60分、月22日勤務、残業あり)

【条件等】
 普通自動車免許

【勤務場所】
ゆいまーる沖縄株式会社  沖縄県島尻郡南風原町宮平652

【応募条件】
*以下の条件すべてにあてはまる方のみご応募ください。
・沖縄のために貢献する気持ちのある方
・勤務時間外で実施する早朝勉強会や社内行事へ参加出来る方
・主体性があり、自分自身を成長させようという強い意思と行動力のある方
・素直な方

【待遇】
当社規定による交通費支給、試用期間3ヶ月、賞与(全社目標達成時)、誕生日手当、図書費補助制度、研修補助制度、ゆくいまーる休暇制度(有休休暇連続5日間以上取得の推進)

【応募方法】
電話、メールでご連絡の上、履歴書を下部宛先へご郵送ください。

※履歴書の1次締切:4月13日(金)必着
※書類審査の上、通過の方のみ面接日のご連絡をさせていただきます。
※1次審査(書類審査)、2次審査(面接)、3次審査(面接)
※選考結果に関するご質問、お問い合わせについては一切お受けすることができませんので予めご了承ください。

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◆書類送付・お問い合わせ先◆
〒901-1104 沖縄県島尻郡南風原町宮平652
TEL 098-882-6990 担当:由利(ゆり)
平日10:00~18:00
MAIL info@utaki.co.jp
HP http://www.utaki.co.jp/


カンパニーサイトの採用ページです
http://www.utaki.co.jp/aboutus_recruit/


  

Posted by ゆいまーる沖縄社長  鈴木修司 at 08:44Comments(0)ゆいまーる沖縄

2018年04月01日

【No.1529】ゆいまーる沖縄は創業30年。改めて「ゆいまーる」の意味を考える。

本日、4月1日はゆいまーる沖縄の創業記念日。

1988年に創業者の玉城幹男が、「琉球の自立に寄与する」という経営目的を掲げ、那覇市首里のアパートで会社を設立してから満30年になりました。


創業間もない頃の首里の店舗兼事務所です。


ちょうど創業当時に玉城の書いた文書の中から一部を抜粋します。



『沖縄にはまだまだ世界に誇りうる自然・文化・沖縄経済があります。市場経済の拡大のために画一化・均一化されつつある日本のなかで人間復興のてだてをまだ沖縄は持っていると確信します。

そのてだては、ひとつに人間と長く共存してきた自然、ふたつに沖縄の宗教(生き方)、みっつにゆいまーる(共同体)、と考えます。どれもが危機に瀕しているのは事実ですが、我々の存在を変革しうる力も持っていると信じるのです。

これから提起するのは、上記の思いもこめて、沖縄経済の自立運動に微力ながら参加する具体的方法です。現代の経済と対峙しえるのはゆいまーると信じ、この沖縄の経済方法を基本としながら、競争原理で動く現実の経済に負けない企画と皆と一緒に考えてみたいと思います。』

「沖縄産品愛用運動・会社設立案」より




この文書が書かれてから30年が経過しました。世の中を見渡すと、資本主義は行き詰まり、出口の見えないトンネルに入っているにも関わらず、それでもなお過度な経済成長を追い続けています。

現代資本主義を維持しようとするために世界では争いが絶えません。しかし、戦争によって遠い地域で苦しむ人々の様子をテレビや雑誌、ネットを通じて観る時、戦争の悲惨さや残酷さは感じても、戦争と自分達の暮らしの関係性については、想像力が働いていない事が多いのではないでしょうか。僕はそのような状況を見て、経済はグローバルにつながっているが、人々の心は分断されているように思えてなりません。

遠い地域で暮らす人々、さらに子や孫の世代といった未来の人々に思いをはせ、想像力を働かせる行為は、「今後どのように豊かになっていけば良いのか」を考えるきっかけになります。これまでのような金と物が中心の豊かさではなく、心をベースとした豊かさへの価値転換が求められています。


この価値転換に必要なキーワードの1つが「ゆいまーる」だと思います。「ゆいまーる」は、かつて親族や集落の人々が集まり、農作業など労働交換の時にこの言葉が使われていました。今でも助け合いや、つながり、共同体といった意味合いで、沖縄の人々に受け継がれています。




 沖縄では、このような人々とのつながり、そして自然や祖先とのつながりを大切にしています。この「つながり」は、自分は生かされているという価値観にも通じる重要なキーワードです。世界で起きている愚行を少しでも減らしていくためにも、自然、地域、人々がつながりを取り戻していく事が必要です。そのために、沖縄は本来持っている「心をベースとした豊かさ」、「つながり」を発信する重要な役割を担っている地域です。




私達は、現代社会において「ゆいまーる」という言葉の意味を改めて考え、これまで事業のベースにしてきた沖縄工芸・食品の企画、流通にとどまらず、沖縄の価値を創造する様々な取組みにチャレンジし、世の中に対して沖縄の持つ価値観を発信していきます。


最後になりましたが、この間ゆいまーる沖縄を創り上げてくださったみなさま、商品を仕入れさせていただいる、工房・メーカーのみなさま、販売をしてくださっているみなさま、ゆいまーる沖縄を応援してくださっているすべてのみなさまに感謝致します。

いっぺー にふぇーでーびたん(本当にありがとうございました)。そして、今後ともゆたさるぐとぅ うにげーさびら(よろしくおねがいいたします)!



  

Posted by ゆいまーる沖縄社長  鈴木修司 at 09:31Comments(0)ゆいまーる沖縄

2018年01月07日

【No.1528】工芸ブームを考える

この4,5年は工芸品が注目されて、とても良く売れていますね。沖縄の工芸も全然供給が間に合っていない状況で、まさに工芸ブーム真っ盛りといった感じです。僕も20年この業界にいますが、こんなに工芸が注目され、全国的に売れた事は無かったと思います(バブルの時はもっとすごかったのではないかと想像しますが僕はバブルを経験していないので詳しくは分かりません・・)。




2001年後半ごろから始まった「沖縄ブーム」の時もそうでした。「沖縄」とつくものは何でも売れ、沖縄物産、沖縄料理店がどんどん県外にオープンしました。


ただ確実に言える事が、ブームは必ず終わります。

沖縄ブームも2004年ごろには収束していきました。その頃の業界の荒れっぷりもすごかった! お店はどんどん閉店し、支払いの遅延、倒産もあちこちでありました。

ブームの特徴をいくつかあげるとこんな感じでしょうか。


・何となく売れていく(売る努力以上の売れ行きがある)
・新たな参入者がどんどん出てくる
・ブームが終わる時は一気に収束する



今の工芸ブームと沖縄ブームは状況がとても良く似ています。メディアもどんどん紹介してくれるので、自らの売る努力以上にモノが売れていきます。そして、今まで販売、製造していなかった販売者やメーカーが業界にやってきて商売を始めるので、売れ行きに拍車がかかっていきます。
ここで問題なのが、この新規参入者の中に必ず市場を荒らす者が出てくるという事です。分かりやすく言うと、質の低下や価格破壊等です。特に「今この市場は元気がいいから一儲けしようという!」ノリで入ってくる人達がやっかいです。

僕は沖縄ブームの時にノリで入ってくる人達をたくさん見てきたので、話をするとそういった人はすぐに分かります。なるべくこういった人や企業とは付き合いたくないです。

そして、ブームが終わる時は一気に収束します。沖縄ブームの時もそうでしたが、「あれ?何か売れ行き鈍ったかな??」と思ったらあっという間でした。
ブームが終わるとノリで新規参入した人や企業は去っていき、荒らされた市場が残るという事になります。ノリで参入した人や企業は、また次の市場へ移動すれば良いのですが、これからもずっとこの市場で商売をしていく人や企業もいるわけです。


今の工芸ブームも企業、個人含めてかなりの新規参入がありますが、その新規出店等も昨年のはじめには一段落した感じです。さらに、日本の工芸を扱っていた先駆け的なブランド、新規参入のアパレル企業が立ち上げたブランドが閉鎖するなど、収束の前兆はもう出ていると思います。あとは東京オリンピック前後が大きな山場でしょうか。


ブームの悪い部分ばかり書いてしまいましたが、僕はブームが完全悪いとは思っていません。ただブームとどう関わるのかによって、うまくブームを活かして成長できる事もあれば、変に巻き込まれて負の遺産を背負ってしまう事にもなります。


何はともあれ、ブームの後も一定の市場は残るので、売れている今のうちに次の展開を考えておかなければならないですね。特に沖縄の工芸は、売れていても作り手の収入は厳しい状況なので、これからの工房運営の計画を立てておく必要があると思います。


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ゆいまーる沖縄では、沖縄型工房運営のセミナーを1月も開催します。業界の現状や今後の見通しについて。そして工房運営を今後どうしていくべきなのかをお伝えしたいと思います。





  

Posted by ゆいまーる沖縄社長  鈴木修司 at 10:44Comments(0)僕の考えゆいまーる沖縄

2018年01月02日

【No.1527】2018年 文化と経済を融合させていく

みなさま、いい そーぐゎち でーびる(あけましておめでとうございます)。

旧年中は、関係者みなさまに大変お世話になりました。いっぺーにふぇーでーびたん(本当にありがとうございました)。

2018年も観光、建設業界が共に好調で、沖縄の景気は好調を維持しそうですね。ただ、私たちが特に深く関わっている工芸業界もそうですが、現在の景気の良さは、東京オリンピックや工芸ブームといった外的要因によるものがとても大きく、中期的に見ると楽観視はできないなと感じています。

さらに今年は沖縄県知事選をはじめ、各市町村の選挙も行われます。沖縄の人々がが沖縄の未来を選択する重要な1年になりそうです。




さて、新年にあたって沖縄の事、会社の事について思いを巡らしている時に、ふとテレビから沖縄民謡の「ヒヤミカチ節」が聞こえてきました。この唄は、沖縄戦で荒廃した沖縄と人々の心を奮い立たせた曲で、今でもたくさんの人によって歌い継がれ、また高校野球の応援歌にも使われるなど、沖縄では身近な民謡のひとつですね。


【ひやみかち節】
 *ひやみかち:目を覚ます、エィ!と気合を入れる、立ち上がる」
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1.名に立ちゅる沖縄 宝島でむぬ 心うち合わち うたちみそり
(名に立つ沖縄 宝島だから 心をひとつに合わせて 立ち上がりましょう)
ヒヤ ヒヤ ヒヤヒヤヒヤ ヒヤミカチウキリ ヒヤミカチウキリ
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2.稲粟の稔り 弥勒世ぬ印 心うち合わち 気張りみそり
(稲粟が実り 豊年の世の予兆 心ひとつに合わせ がんばりましょう)
.
3.音楽がくやないしゅらさ 花や咲き美らさ 我した此ぬ沖縄世界に知らさ
.(ガク(音楽)は鳴りかわいらしい 花は咲き 美しい 私たちのこの沖縄世界に知らせよう)
.
4.人の取ゆる年ぬ んぱんぱぬなゆみ うびらじに取たさ六十ばんじゃ
(人の取る年は 避けられないもの 気づかない間に取ったよ60歳)
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5.我や虎でむぬ羽着けてたぼり 波路パシフィック渡てなびら
(私は虎だから 羽をつけてください 波路太平洋渡りましょう)
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6.七転び転でひやみかち起きり 我したこの沖縄世界に知らさ
(七回転んでも沖縄は「エイ」と起き上がるぞ 私たちのこの沖縄を世界に知らしめよう)
.




改めて聴いてみると、本当に素晴らしい歌だなと思います。現在はこの歌が生まれた時代と状況は異なりますが(ただ日本における沖縄の置かれた状況は本質的に変わっていないと思います)、経済が好調な時だからこそ、足下にある宝物を見つめ直し、沖縄が主体となった本質的な地域の成長に繋げていく時です。

そのベースとなる考えが文化と経済の融合です。これまでは経済が成長すれば文化は衰退するという関係性でした。しかし、これからは文化と経済が共存する、もしくは文化が経済を牽引する時代になるとも言われています。工芸、食、芸能、祈りといった多種多様な文化が存在する沖縄のソフトパワーが発揮される時代に突入しています。

だだし、量を追いかけるこれまでの経済成長モデルでは、下手をすると文化を破壊してしまう事にも繋がりかねません。これからの文化経済、文化産業形成のためには、文化に軸を置いた上で経済とミックスさせるという価値転換が必要になります。ビジネスの世界に文化への理解とセンスが必要とされ、逆に文化の世界にもビジネス知識と発想が求められます。




物価の上昇、人口減少、世代交代など、これまでの方法で文化を継承していくのが困難になっている事を考えると、特に工芸や芸能という文化の世界にビジネス知識と発想をどう取り込んでいくのか、ここが重要な取組みになると思います。

ゆいまーる沖縄の経営目的の1つに、「琉球の文化・祈りに深く学び それを事業にする」という文言があります。
2018年はこの経営目的を再認識し、今後は流通というスタイルにとどまらず沖縄の価値を創造する活動を通じて、沖縄に貢献していきたいと思います。

本年もゆたさるぐとぅ うにげーさびら(よろしくおねがいいたします)。

  

Posted by ゆいまーる沖縄社長  鈴木修司 at 07:00Comments(0)僕の考えゆいまーる沖縄沖縄

2017年12月24日

【No.1526】沖縄の染織と精神文化

先日、うちの社員と話をしている時に、沖縄にこれだけたくさんの種類の織物があって、さらに作り手の数も多いのは、沖縄の精神性とも関係性があるのでは?という話があった。



ふむふむ、、確かにそうかもしれない。

沖縄という狭い地域に、これだけ織物の種類が多いのは世界的に見ても珍しい。
それは、織物の糸や染料の原料となる植物の豊富さといった自然環境によるもの。そして、大交易時代の海外交易によって素材や技法が琉球に入ってきたこと。そして、薩摩の従属下+中国の封建体制も続いた二重構造の中で、貢納品や献上品を生産するためのシステムや振興策がとられたという歴史がある。

これら地理的・歴史的な背景に加えて、その根っこにあるのが沖縄の精神文化ではないかという考え。
気になって過去のノートを振り返ってみたら、2016年に八重山へ出張に行った時、織手の人達と話をした時のメモに「精神性」が沖縄の織物に影響を与えているのではと記されていた。




明治に入って日本は近代化が進み、物質文明が主流となっていった。
一方、廃藩置県後に琉球から沖縄県になり近代化の影響を大きく受けたが、今でも沖縄には精神文明が息づいている。それは、自然崇拝、祖先崇拝を柱とする沖縄の人達の価値観、祭りなどに見ることができる。





現在、沖縄の染織は生産高も大きく下がり、作り手の低収入、原材料不足、後継者不足といった問題が山積している。このまま具体的な変革のアクションを起こさなければ、産地として成り立たなくなる可能性が非常に高い。

そのためには、まず作り手、産地にお金をどうまわしていくのか?という「経済」の視点、取組みが必要。なぜなら、今この「経済」部分が弱いために、作り手、産地が苦しんでいるからである。

ただし「経済」だけでもまた工芸は崩壊に向かう。
「経済」に加えて「文化」、そして染織においては、「精神性」とのバランスをどうとっていくのかが重要になってくる。

しかも、沖縄の中でも地域によって「経済」・「文化」・「精神性」のバランスの取り方が異なるので、地域やモノづくりの特性をしっかり見極める必要がある。


大きな時代の流れを見ると、現代資本主義の行き詰まりにより物質文明は転換期をむかえている。
その中で、「経済」に課題がある工芸、特に織物が今からどのような方向性で変革してくのか。非常に重要な選択を迫られている。


  

Posted by ゆいまーる沖縄社長  鈴木修司 at 09:54Comments(0)僕の考え沖縄

2017年12月10日

【No.1525】染織では本当に食べていけないのか?

現在、沖縄の染織業界の「低収入」・「後継者不足」といった問題の解決に向けたプロジェクトで色々な産地を巡っています。先週は、久米島、大阪、愛知有松、山梨富士吉田へ。



最近、生産者とお話して感じるのが、特に沖縄のような手染め・手織りで生産をしていると、「そもそも染織で食べていくことはできない」と思い込んでしまっている方が多いのではないか? という事です。実際に30年以上織物をしている方から「織物だけで食べていけると思ったことがない」という声も聞きました。




確かに2008年の調査資料をみると、沖縄の染織組合員で年間100万円以下の収入の生産者が61.7%。さらに、年間50万円以下の収入の生産者が全体の40.3%もいるなど、生業としては成り立たっていない状況です。


収入の事を考えると、今では染織以外でも仕事を選択できる時代です。現在染織に携わっている方々は、年金をもらっている、家族で他にメインの収入を得ている人がいる、といった生業としてのモノづくりではないスタイルが多くなっているようです。


そうなると、副業的なモノづくり、ダブルワークをしなければならない事が当たり前になってしまい、業界全体としてこの状況を打破し、生業としてのモノづくりにしていこう考えやアクションがなくなってしまいます。こうなってしまうと生業的なモノづくりを目指す若手がいなくなってしまうのは当然です。


僕は、生業、副業、もしくはアート系・・・モノづくりのスタイルはいくつかあって良いと思いますが、あくまで産地としてのベースは生業としてのモノづくりだと思います。




沖縄もかつては生業として染織をしている方は多くいましたが、時代の流れや呉服の流通構造の硬直化により厳しくなってしまいました。しかし、呉服の流通構造を調べてみると、新たな取り組みによって変化を起こす事は可能だと思います(どうすれば良いかはまた別の機会に書きます)。


ただ、変化を起こすためには、まず生産者自身の意識を変えていく事が必要です。さらに多様な人や組織と連携しながら業界に変化を起こしていく。そうする事で、染織でも生業としてやっていける!後継者も増えていく!という流れになっていくはずです。

  

Posted by ゆいまーる沖縄社長  鈴木修司 at 14:40Comments(0)僕の考え